◆企画第2弾!マグダレナ&サンタアナ!

前回のプレミアムショコラに続き、USプレミアムのポテンシャルを引き出す焙煎企画 第2弾!

今回は、精選方法ウォッシュトのUSプレミアムの中から、産地標高が高く、しっかりとした酸質の「コロンビア サンアグスティン マグダレナSUP」と中程度の産地標高で比較的優しい酸質の「ニカラグア サンタアナ農園SHG」をチョイス!


今回も弊社のグループ会社であるアライドコーヒーロースターズ(株)(以下、ACR) 商品開発課の皆様のご協力のもと、
マグダレナ、サンタアナそれぞれのおススメの焙煎度で焙煎し、テイスティングを行いました。

さらに、焙煎してくださった小出秀介氏に各商品の持つ「良さ」や「らしさ」を引き出す焙煎のポイントも伺いました。

 

☕第1弾 プレミアムショコラ編はこちら

◆焙煎士のご紹介

小出秀介氏(アライドコーヒーロースターズ(株)商品開発課 所属)

 

普段は商品開発課に属しており工業用焙煎機での製品製造時の商品設計や焙煎プロファイル(ヒーティングステージなど)を作成。ホームロースターから工業用焙煎機まで幅広く勉強中。


ロースティングコンテスト受賞歴
◆SCAJ RMTC2021(オーディエンス2位)、2022(オーディエンス1位)参加時のチーム内での焙煎担当。

◆IIAC国際カフェテイスティング競技会2024金賞受賞/業務用エスプレッソマシン部門・フィルターコーヒー部門

※IIAC(国際カフェテイスティング協会:本部/イタリアロンバルディア州)が主催する世界各国から集まった焙煎豆をプロのテイスターたちが作成者(社)を隠したいわゆるブラインドテイスティングをおこない採点。一定以上の得点を獲得したサンプルに金賞が授与されます。世界の有名なエスプレッソメーカーやカフェも受賞経験のある品評会。

◆焙煎度合いについて

「焙煎度合い」はお店様ごとで様々かと思いますが、ユーエスフーズでは以下のような基準を設けています。

これらを基準としながら、時間、豆の色、ハゼの音、皺の状態、香り、煙の様子など総合的に判断し、煎り止めをしています。

マグダレナ、サンタアナともにおススメの焙煎度で人気だったのは中深煎り!今回の検証はどちらも中深煎りで行いました。

※いつもの4段階焙煎でのコメントはこちらからご覧ください↓

◆コロンビア サンアグスティン マグダレナ SUP『味・香りについて』

◆ニカラグア サンタアナ農園 SHG『味・香りについて』

◆コロンビア サンアグスティン マグダレナ SUP

中深煎りの香味コメント

テイスティングの中で出てきたコメントをパックバブルチャートにしてみました。
コメントの数が多いほど、円が大きく表されています。

ベリー、カシス、ぶどうといった柑橘系以外のフルーツのコメントが一番多く、次いでチョコレート系のコメントと量感、アフターへのコメントが多く出ました。

酸味については柑橘系のコメントもあり、また、質感のなめらかさへのコメントも挙がりました。

 

まさに「甘い、豊か、広がる」というマグダレナのキャッチフレーズにふさわしいコメント結果が得られました。

 

※チャート内のグループ分けについて

 グループ(1) 柑橘系

 グループ(2) 柑橘系以外のフルーツ

 グループ(3) ナッツ、チョコレート

 グループ(4) 質感

 グループ(5) 量感、アフター

 グループ(6) その他

マグダレナ 中深煎りの香味コメント

◆コロンビア マグダレナ SUP:注目した「らしさ」と焙煎のポイント

注目した「らしさ」

 

商品のキャッチフレーズでもある「甘い、豊か、広がる」!ロングアフターとコク、フルーティさに注目!

ACR 小出氏による焙煎のポイント!

 

●使用した焙煎機/PROBATONE 5kg 半熱風

1stクラック少し手前からのガス圧の調整をあまり下げ過ぎず、高めのRoR(1分間に何度上昇したか)をキープし、1ハゼ後は割と一定のRoRで煎り上げました。

濃度感とアフターの長さが増し、パリッとしたロースト感と厚みのある味わいを目指した焙煎にしました。

マグダレナの持つポテンシャルによって滑かな質感としっかりとした甘味を出せたかなと思います。 

◆ニカラグア サンタアナ農園 SHG

中深煎りの香味コメント

りんご、ぶどう、ストーンフルーツなど柑橘以外のフルーツのコメントが一番多く見られました。

次いで、ハーバルやグラッシーのコメント、柑橘系のコメント、ナッツやチョコレート系のコメントが多く出ました。

ラウンド、丸みといった質感へのコメントもありました。

 

マイルドな酸質ながら、りんごやぶどうなど柑橘以外のフルーツも感じられる複雑性とハーバル、ナッツがバランスよく感じられるサンタアナの優しさとふくよかさをよく表すコメント結果となりました。

 

※チャート内のグループ分けについて

 グループ(1) 柑橘系

 グループ(2) 柑橘系以外のフルーツ

 グループ(3) ナッツ、チョコレート

 グループ(4) 質感

 グループ(5) 量感、アフター

 グループ(6) その他

サンタアナ 中深煎りの香味コメント

◆ニカラグア サンタアナ SHG:注目した「らしさ」と焙煎のポイント

注目した「らしさ」

 

優しさの中から溢れる奥深い味わい。マイルドながらも複雑性のある酸質に注目!

ACR 小出氏による焙煎のポイント!

 

●使用した焙煎機/PROBATONE 5kg 半熱風

メイラードエリアの中盤から(160℃~170℃で)RoR を下げ過ぎない程度になるべく一定になるように推移させ、1stクラック手前から少し下げ気味の品温をキープすることでボディ、甘味、質感のバランス向上を狙いました。

また、2ハゼ(215℃付近)手前からダンパーを少し開け30秒ほどで煎り上げました。

スッキリしがちなフレーバーに酸味がマスキングされない程度のボディと甘さを加えるイメージで仕上げました。

酸味の質、フレーバー、アフターの印象をバランスよく取りに行った焙煎プロファイルを目指しました。 

◆焙煎についてのベーシックな考え方

短時間焙煎と長時間焙煎

 

似たような焙煎度で比較した場合、焙煎時間の短いものは焙煎時間の長いものと比べ、良くも悪くも酸味や個性が残りやすい傾向があります。

一方、焙煎時間を長くすると、原料の持つ酸味や個性はマイルドになり、質感やアフターの甘味が向上します。

 

どちらが良い、悪いではなく、それぞれの特性を理解し使い分けをすることで、焙煎の幅が広がり、表現したいコーヒーにより近づくことができます。

 

例えば、焙煎した豆をテイスティングした際に、少しぼんやりとした印象を受けた場合、焙煎時間を短くすると香味の輪郭をはっきりとさせることができます。

◆原料のポテンシャルによって焙煎を変える

その時使う原料の持つ風味特性を読み取って焙煎方法を変えるケースもあります。

 

商品設計を考えた時、例えばシングルなのかブレンドなのかによっても先ずその焙煎手法は異なってきますが、一番の要素は生豆のポテンシャル。

シングルローストの場合、例えばトップスペシャルティコーヒーのような産地のテロワール自体にコンプレックスな風味に繋がる要素を持つ生豆をローストする場合は、焙煎香をあまり入れずに表現したいプレイヤーが多い傾向にあり、「焙煎度」は割と浅めに「焙煎時間」は比較的短めにローストする焙煎士が多いようです。

もちろん「美味しさ」の尺度はお店や焙煎士それぞれに考えがあり、その表現にはどんな焙煎レンジ、ロースト手法でも多くのファンがついています。

 

大事なのは元のコーヒー生豆が持っているポテンシャルの見極めです。

コモディティクラスであろうがスペシャルティクラスであろうが自分の手元にあるお豆の現在のポテンシャルを知り、焙煎手法を適宜変えていく技術力も焙煎士の必要な要素だと思います。

 

例)

毎年定期的に購入しているお豆が今年になってアロマとフレーバーの質は良いがちょっとおとなしい。

 ↓

いつもよりカロリーを入れ込む時間を少し長めにとって(そのタイミングも重要!)質感と甘さを多く引き出す事でトータルの香りの総量を増やしていく、など。 

最後までお読みいただきありがとうございました!

 

今回はウォッシュト編として、標高高めで酸味のしっかりとしたマグダレナと標高やや低めでマイルドな酸味のサンタアナの焙煎とテイスティングを行いました。

原料の持つ「らしさ」に注目して焙煎のアプローチを工夫することで、その「らしさ」がより引き出され、特徴をよりキャッチしやすくなる。あらためて焙煎の奥深さを体験することが出来ました!

 

次回はスマトラ式(ウェットハル)またはエチオピア ナチュラルで計画中!自家焙煎店の皆様に有益な情報を発信していきますので、次回もご期待ください!

 

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